浅草のギャラリーアビアントの「古茂田杏子 郡司宏 中佐藤滋−−人生模様・三人展−−」を見る


 浅草のギャラリーアビアントで「古茂田杏子 郡司宏 中佐藤滋−−人生模様・三人展−−」が開かれている(11月29日まで)。浅草と書いたが、正確には吾妻橋を渡ってすぐの墨田区吾妻橋一丁目になる。東京スカイツリーにもとても近い。展覧会の主旨を企画した御子柴大三が書いている。

市井の人々の色恋沙汰と人情を描いて現代に浮世絵の世界を蘇らせる古茂田杏子。下町に暮す人々の生き様の中に哀しみを見出し、それにユーモアをもって共感する中佐藤滋。暮色を背景に、数多の線が跳ねては下降し屈折する。その線と色に人生の紆余曲折を暗示させる抽象の郡司宏。今展はまさに画家の「人生模様」そのものである。/円熟の時を迎えた三人の妙技を御覧下さいませ。

 郡司を下町と結びつけるのはちょっと苦しいが、それは別にして、古茂田杏子の版画はいつもおもしろい。ちょっとエロティックなのだ。今回はドライポイントということで、エディションが2枚だけだ。版が持たないらしい。
 古茂田杏子は、画家古茂田守介の娘さん。といっても、もう孫がいる。昨年の目黒区立美術館の古茂田守介+古茂田美津子展は古茂田杏子の両親の展覧会だった。守介の作品に幼い杏子さんが描かれていた。あの女の子が、いまエロティックな版画を作っていると思えばおかしい。いやエロティックと書いたが、決して品は悪くはない。むしろ高尚で文学的と言ってもいい。永井荷風とか、あの辺の雰囲気を持っている。ちょっとマイナーな優れた版画作家だ。

古茂田杏子「青春」

古茂田杏子「おつかれさま」

古茂田杏子「足湯」

古茂田杏子「隅田川沿い」
 郡司宏は1952年東京都生まれ。2年前に六本木のShonandai MY Galleryでの個展をブログで紹介したことがある。


Shonandai MY Galleryの郡司宏展(2011年11月5日)
 中佐藤には今回会えなかった。下に掲載するのが中佐藤の作品。


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「古茂田杏子 郡司宏 中佐藤滋−−人生模様・三人展−−」
2013年11月20日(水)−11月29日(金)
11:00−19:00(最終日17:00まで)会期中無休
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ギャラリーアビアント
東京都墨田区吾妻橋1-23-30-101
電話03-3621-0278
http://abientot.main.jp/
30階建てUR住宅棟1階(赤いテントの広場前)
浅草駅より徒歩4分
吾妻橋を渡って50m先の左手