ギャラリーなつかの伊藤哲一彫刻展を見る


 東京京橋のギャラリーなつかで伊藤哲一彫刻展が開かれている(7月20日まで)。伊藤は1974年東京生まれ。1999年に東京芸術大学彫刻科に入学し、2003年に卒業、また2005年には同大学大学院彫刻専攻を修了している。
 2004年に千葉市のギャラリーKIKIで初個展、以来千葉県のギャラリーで個展を開いているが、東京では2009年の銀座のみゆき画廊についで、これが4年ぶり2回目となる。石彫の作家だ。
 今回展示されているのは、高さ75cmもある「靴」と題された黒御影石の作品。その大きさを示すために作家の下半身を写し込んだ写真と、奥に「おでかけ」と題した奥行き34cmの小品を写し込んだ写真を提示した。揃えて置かれた革の長靴。靴の左右の大きさが顕著に異なるのに、なぜかそれに違和感がない。労働者の靴だろうか、ぶっきらぼうな表情の靴にどこか親しみを感じつつ、彫刻という「もの」の存在感も強く感じる。200kgをはるかに超える重量だという。


 ライムストーンで作られた「おでかけ」という奥行き34cmの小品は、女の人の履く上品な草履だろうか。硬くない石とその色から、何か暖かみが感じられる。

「高僧の靴」と題された作品はインド砂岩で作られている。高さ35cm、幅30cm、奥行き57cmある。砂岩の彫刻というと丸山富之を思い出すが、一時教わったことがあったという。DMに使われた作品だが、どんな靴というよりも、形そのものがおもしろい。

 芳名帳の横に置かれた黒御影石の「黒い靴」、小品だがきれいな形だ。粗く削りだしたところと磨いた肌ののバランスがとても良い。

 この他、壁面に取り付けられた「古の花」と題する和紙とスチレンフォームで作られた直径100cmもあるレリーフが展示されていたが、撮影するのを忘れてしまった。
 石の彫刻展なのにとてもおもしろかった。
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伊藤哲一彫刻展
2013年7月15日(月)〜7月20日(土)
11:00−18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/