ソフトバンクのスマホの雑な広告



 JR市ヶ谷駅のホームに立てられている看板にソフトバンクモバイルスマホの広告が貼られていた。「通話も!」「ネットも!」とキャッチがあり、それぞれ折れ線グラフが添えられている。「通話も!」の横に大きく数字が書かれていて、98.4%、98.2%、98.0%とあり、それぞれソフトバンク、b社、a社となっている。「ネットも!」も同様に、96.6%、96.2%、95.5%とあり、やはり、それぞれソフトバンク、b社、a社となっている。
 まず「通話」から見よう。折れ線グラフは2012年7月24日から2013年3月12日までの経時変化をたどっており、大きく描かれた数字はこのうち3月6日から3月12日の1週間平均を採っている。黒く太い線がソフトバンクだが、もし最近の1週間でなくこの7カ月間を平均したら、トップはおそらくa社だろう。当たり前だけど、自社に都合の良いデータを選んでいる。
 「ネット」では、「通話」と違って今年の1月15日から3月19日の経時変化をグラフにしている。2月中旬のソフトバンクの接続率はa社同様最低だった。
 しかし大事なことは、「通話」の最大と最小の接続率の差はわずか0.4ポイントであること、「ネット」でもわずか1.1ポイントなのだ。こんな僅差の数字に有効な意味を与えることはできないだろう。
 さてしかし、広告の役割は相手を説得することだ。昔15年くらい前だったか、Sonnyが初のデジカメであるデジタルマビカを開発した。デモンストレーションを見に行ったが、その場で撮った写真がテレビのモニターにバッチリ映し出されていた。ほとんど感動した。そのときのマビカの容量はたった40万画素だった。だからテレビのモニターを発表の場に選んだのだろう。プリントしたら荒れた画像で見られたものではなかっただろう。何年もしてIXY200というCANONのデジカメを買ったとき、その200万画素で撮った写真を半分にトリミングしたら、荒れすぎて2L判の写真に焼けなかった。200万の半分として100万画素でもたいして使い物にならなかったのだ。いわんやマビカの40万画素では何と言われるか。
 ではマビカの発表は誤魔化しだったのか。いや、あれはあれで良かったと思う。私は実際に感動したのだし。
 ソフトバンクは嘘を言っているわけではない。ちゃんと数字を出している。データを読もうとしない消費者にも責任の一端はあるのではないか。むかし広告を作っていた頃、私はデータを小さく扱って結論をはっきり大きく書くように心がけた。広告を見る連中はデータなんか見ないからだ。大きく書いた主張の裏づけとしてデータを掲載するべきだとクライアントを説得したものだった。
 この4月にもソフトバンクの広告について書いたことがあった。
グラフのまやかし(2013年4月1日)