私の提案

 以前、硬貨巻きの仕事をしたことがある。バラの硬貨を50枚ずつ束ねて棒状にする仕事だ。棒状にするのは専用の機械でするのだが、袋に入っている硬貨をその機械の口まで持ち上げて入れるのは人の手でしなければならない。その機械の口まで1メートルほどあろうか。硬貨は袋に2,000枚ずつ入っている。500 円硬貨のみ500枚入りなので、一番重い袋は100円硬貨になり、これがざっと20kgになる。これは重い。両手に1袋ずつ提げると、腰の骨が沈むような感覚を覚える。機械に入れるのは1袋ずつだが、20kgの袋を機械の口まで持ち上げるのも結構大変だった。そのとき硬貨をこぼしてしまったらすべてを拾い集めるためさらに一苦労になる。硬貨は意外に遠くまで転がってしまうのだ。
 この硬貨が2,000枚入った袋を持ち運んだ経験のある人はわずかな数だろうし、さらにそれを日常的に行ったことがある人はもっと少ないだろう。その極少数派を代表して提案したいことがある。1円玉を除くすべての硬貨に5円玉や50円玉のように穴を開けること。こうすれば硬貨はずいぶん軽くなり、また使用する金属の量も減らすことができる。これは限りある資源の有効利用の面から考えても画期的な提案ではないだろうか。
 財務省だか金融庁だかよく分からないが、真剣に考えてほしいと思う。