奈良美智展を見て

 横浜美術館奈良美智展を見る。今回は大きなブロンズ像がメインのようだった。相変わらず多くの若者たちが見に来ていた。チケットを買うまで15分間並ぶ。それ以降は順調に見ていくことができた。
 奈良の平面作品はどうしてもおもしろいと思えない。これはイラストにしか過ぎないというのが感想だ。イラストだから多くの若者に支持される。それ以上、絵画的に評価できるものはない。
 目玉展示のブロンズ作品を見る。平面で描いてきたちょっと怖い顔の少女のキャラクターを立体にしている。しかし、粘土の塊にただ目鼻をつけただけでは彫刻作品にはならないだろう。ブロンズ作品に比べれば、先につまらないと書いた平面作品の方がまだましだった。
 奈良美智展の後で見た常設展に宮崎進の麻袋(ドンゴロス)の平面作品と頭部の立体作品が展示されていた。宮崎の麻袋の作品は悪くはないが、どうして頭部の立体はこんなにつまらないのだろう。立体がとくにつまらない点で、奈良と宮崎は共通していると思った。
 一般に立体の作家のドローイングは優れたものが多いが、反対に平面の作家の立体は完成度が高いものが少ないように思う。それはなぜなのだろうか。