毎日新聞のコラム「好きなもの」の9月30日は金井美恵子が書いている。このコラムは著名人が好きなものを3つ挙げて、簡単な解説をつけるもの。今回は私の好きな金井美恵子の登場だ。さて、彼女の好きなもの。
1.映画の本と世界
2.トリュフォーの手紙
3.山田宏一のインタビュー
金井はこのような3点を上げているが、ほとんどすべて山田宏一の本のことなのだ。1.では山田宏一の私的3部作として、『トリュフォーの手紙』『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』が取り上げられている。
2.でも取り上げた『トリュフォーの手紙』について、金井は語る。
『友よ映画よ』の哀切極まりないラストの名場面の後に、まだまだ様々な登場人物たちの人生も映画も続くのである。トリュフォーへの共感と敬愛と信頼と友情で結ばれた記録は様々な記憶に共振する幾つもの映画的シーンに充ちていることに、私たちは何度も驚嘆する。そしてここには映画の世界につきもののゴシップも、ある。カトリーヌ・ドヌーヴとトリュフォーが激しく愛しあっていたとは!
3.の「山田宏一のインタビュー」に関しても、
映画の細部をゆるがせにしない最高のインタビュー『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』の翻訳者でもある山田(と蓮實重彦)によるトリュフォーのインタビューはもとより、32年ぶりに再会したアンナ・カリーナも含めて、山田のインタビューは映画の現場と相手の肉声の真実を見事に聞きとるので、読者はその臨場感に感動し、さあ、これから映画を見に行くぞ、という幸福な高揚感でわくわくするのである。
辛辣な毒舌家の金井にこんなに称賛されるのであれば本物だろう。以前『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』を読んだが素晴らしかった。山田の他の本も読んでみよう。
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・「友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」を読んで(2008年3月3日)

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