eitoeikoの内山聡展「Soaked Paintings」を見る


 東京神楽坂のギャラリーeitoeikoの内山聡展「Soaked Paintings」を見る(10月20日まで)。内山は7月のギャラリー現での個展を紹介したことがある。
ギャラリー現の内山聡展が興味深い(2012年7月24日)
 内山は1978年神奈川県生まれ。2005年に多摩美術大学大学院日本画研究領域を修了している。2003年にアートスペース羅針盤で初個展、その後神奈川県のギャラリーHIRAWATAやギャラリー現で個展を続けている。
 画廊で作ったDMハガキのテキストより、

 復興ボランティアに参加し、津波にのまれた建物の壁に残された、海面の痕跡をみた内山聡。その光景をあたかも平面が立体的な質量をもって迫るものととらえた作家は、逃れられない環境からの影響を積極的に提示した「浸す絵画」を生み出しました。白いキャンバスが、それを取り巻く環境の力によって支配されるという事態を浮き彫りにした作品から、作家はアートが社会に浸透していく行為を逆説的に試みます。それは生々しく過激でありながら、鮮やかな価値の転換と新しい夜明けを連想させます。



 これらの作品の制作方法を内山が教えてくれた。何も描かれていないキャンバスを絵具の入っている容器に漬ける。それが乾くのを待って別の色の絵具の容器に漬ける。そうやって、少しずつずらして容器に漬けることによって、帯状のストライプの作品ができあがる。キャンバスをとっぷりと漬けるので、表面だけではなく裏面にまでストライプができている。
 まず山田正亮の作品を連想したが、山田が筆で描いていることで違いが現れる。もちろんコンセプトが違うが。そして友人だという高橋大輔の作品との類似性も連想した。内田と高橋が絵具の物質性を作品の大きな特性としていることが共通なのだ。内田は前回の個展も物質性を前面に出していた。
HARMASギャラリーでの高橋大輔展がとても良い(2012年4月30日)
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内山聡展「Soaked Paintings」
2012年9月21日(金)〜10月20日(土)
12:00〜19:00(日・月・祝休廊)
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ギャラリーeitoeiko
東京都新宿区矢来町32-2
電話03-6479-6923
http://eitoeiko.com