ワタのイラスト

 「二十四節季・七十二候 歳時記カレンダー」を愛用している。名前のとおり二十四節季と七十二候が記されて、短歌や俳句、季節の植物とその解説、イラストが載っている。イラストは割合リアルなものと、デフォルメされたマンガ的なものに分かれる。思うに手近にモデルとするものがないときマンガ的になり、植物や人形など見本が入手できる場合はリアルになる。
 8月のカレンダーでは、心太(ところてん)や桔梗の花、夜顔の花、萩、大文字草、トンボ、ワタの実などが描かれている。ワタが描かれているのは七十二候で「綿柎開(めんぷひらく)」に関連している。その意は「綿がふき始める頃」だという。このワタの絵はリアルなそれだ。


 さて、現実に8月末頃にはワタの実が開く。この写真は在来種のワタで近所の植物園で撮ったものだ。写真とイラストの大きな違いは、イラストが西洋ワタであるほかに、イラストのワタの茎が枯れていることだ。つまり、イラストレーターは花屋からワタを買ってきて描いたのに違いない。さて、花屋で売られているワタはすべてドライフラワーなのだ。写真のワタの葉が緑色をしていることに注目してほしい。
 父さん、そんなこまかいことを気にするのは父さんだけだよ。
 いや、4月のカレンダーでは、田圃の中に米俵が転がっていて何だろうと思ったら、どうやら蓑傘を付けて田植えをしている農民を描いたのらしい。このカレンダー、ときどきひどいんだから。