サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』の柴田元幸訳が文庫になった


 サリンジャーナイン・ストーリーズ』の柴田元幸訳が文庫になった。ヴィレッジブックスだ。単行本で出たものが文庫になるのは何も不思議なことではない。ただ、その単行本が問題だった。ヴィレッジブックスから発行されている雑誌『monkey business』2008 Fall vol.3 「サリンジャー号」として出版されたのだ。雑誌という体裁ながら、内容はサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』のみ、解説その他もなし。背表紙は雑誌タイトルだけ目立っていて、これが実はサリンジャーの短篇集の新訳だとは到底気が付かないだろう。(写真は単行本の表紙)
 だから今回ちゃんとした文庫になって、背表紙にサリンジャーナイン・ストーリーズ』と明記されるのはとても喜ばしい。
 この単行本に関して池澤夏樹毎日新聞に書評を書いていた(2009年4月12日)。

 伝説的な作家の代表作である短篇集を、稀代の名手とされる翻訳者が新たに日本語に移した。こういう本を読む利点は、絶対安心ということだ。おもしろくなかったら、あなたが悪い。どこか読み違えている。

 単行本の出版当時、このブログでも紹介したのだった。
       ・
サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」の新訳(2009年4月14日)
再び、サリンジャー「エズメのために」を巡って(2008年12月18日)


ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)