『わの会の眼』に掲載された山本弘「赤鬼」


NPO法人あーと・わの会」という美術コレクターの会がある。その会が最近『わの会の眼』という本を発行した。会員たちが自慢の作品を持ち寄って150点を選び、作品の写真と持ち主の文章を見開き2ページにまとめて300ページ余の立派な画集を作った。
 会員の一人福田豊万さんが、山本弘の「赤鬼」が掲載されたこの『わの会の眼』を贈ってくださった。作品が掲載されたページの写真の下に福田さんが書かれた文章を再録する。

画家「山本弘」に〈泣き顔の鬼の絵かけて春隣り〉


 私は立春が近づく頃になるとこの山本弘の絵を掛けるのが数年来の習いになっており、去年はほとんど1年中、我家の狭い壁面を占領していました。
 強烈な印象を残して世を去ったこの画家の心の中に住んでいたのであろうこの鬼は、よくみるとなぜか心弱そうで、自分の醜い姿に泣き出しそうな顔をしてこちらを見つめているのです。この鬼は又、誰の心の中にでも住んでいる鬼を描いているようで、私の心の中にも居る鬼と兄弟の様に思えるのです。
 この絵は激しい筆使いにもかかわらず、見つめていると画中に引き込まれるような静寂観を漂わせていて画家が自分の心の中を深く見つめている思いが伝わってきます。この絵は山本弘の代表作の一つであると思います。私はもっと山本弘の事を知りたいと思いますし、皆様にも知って頂きたいと願っております。

 福田さん、ありがとうございました。