江戸の言葉

 朝日新聞beの記事に「サザエさんをさがして」という連載コラムがある。古いサザエさんのマンガを選んで、当時の風俗を解説するものだ。6月9日のそれは「生ビール」がテーマだった。取り上げられたサザエさんは1957年7月14日のものだ。最初の1コマだけここに紹介した。


1.いらっしゃいまし
2.生ビールと氷しるこね/はい
3.おまちどうさま
4.(男が氷しるこを食べ、女がビールを飲んでいる。それを波平が驚いて見ている)

 東京日本橋明治35年創業と看板に書いてある蕎麦屋日本橋やぶ久」がある。店主らしいお爺さんは、客が入っていくと「いらっしゃいまし」と挨拶する。サザエさんのマンガの店の主人と一緒だ。女店員は「いらっしゃいませ」だが。
 30年ほど前、取引のあった水道橋の新村印刷に出張校正に行ったとき、中年の女子社員に「いらっしゃいまし」と挨拶された。聞くところによると、彼女は靖国神社近くの九段の出身だという。
 この「いらっしゃいまし」は元来の江戸言葉で、「いらっしゃいませ」が近江あたりの商人が東京へ持ってきた言葉とのことだった。でも、もう「いらっしゃいませ」がデパートを始め一般的で、「いらっしゃいまし」を聞く機会は滅多にない。