ヨシダグループ会長の金言

 朝日新聞土曜日be掲載の「フロントランナー」、6月2日に取り上げられたのは米国ソース王というヨシダグループ会長の吉田潤喜(62歳)だ。吉田は大学受験に失敗した19歳のとき渡米する。空手道場を経営していたが、不況で生徒たちへのクリスマスプレゼントのお返しができなくて、母親が作っていた焼肉のタレを思い出し、醤油ベースのバーベキューソースを作って配ったら好評だったので製品化を思いつく。それが成功し現在ヨシダグループは従業員400人、年商2億ドルの優良企業となった。
 さすが一代で成功を収めた会長、金言を語っている。

 −−米国で成功した人間の目に、日本はどう見えますか。
 政治も経済もメチャクチャ。テレビを見てたら「カリスマ経営者」といわれる人物が、これ見よがしに社員を罵倒しているのを見て「アホか」と思った。あの弱肉強食、生き馬の目を抜く米国のビジネスの現場でさえ、部下のことを人前で怒鳴ったりしない。注意したいことがあったら一杯誘う。あんな人間がカリスマだ、リーダーシップだともてはやされる社会はどこか間違っている。
 −−何が日本に欠けてますか?
 プライドもミエも捨てて、もういっぺんアホになってがんばる精神やないか。グローバルスタンダードの時代だからと社内公用語を英語にした会社もあるそうだが、それは社長の自己満足。必要があったら語学は覚える。高度成長期、日本の商社マンはヘタクソな語学で世界中に飛び込んでいって商売した。ああいう突撃精神がなくなり、コミュニケーションだスキルだと言っている。
(中略)
 −−今後日本はどうなります?
 いまはお金があるから露骨にバカにされていないが、これでお金がなくなったら世界中からバカにされる。TPPが話題になっているが、ウォールストリートの連中は虎視眈々と日本の懐を狙っている。シビアに世界を見て、気を引き締めないと、あっという間にハゲタカに食い散らかされるわ。

 プロフィールに、1949年京都生まれ、在日韓国人2世。7人兄弟の末っ子とある。自分の力で這い上がった人物の言葉は光っている。いや、這い上がったもう一人の社長が社内公用語を英語にした人物だった。