犬のふぐりの俳句


 オオイヌノフグリが咲き始めている。歳時記の春の項には季語として「犬のふぐり」が載っている。その解説から、

ゴマノハグサ科に属する2年草。果実の形が似ているというのでつけられた名前がいささか哀れだが、愛らしい花である。日本自生の淡紅色のものと、ヨーロッパ原産の青い大犬ふぐりがあり、いまでは後者が圧倒的に多い。
   いぬふぐり星のまたたく如くなり    高浜虚子
   犬ふぐりさみしき数をふやしけり    稲富義明

 私も1句詠んでみた。


大ふぐり骨のみ残して焼けにけり


 火葬場の情景を想像して詠んでみたもの。季語は大ふぐり。当然春。大男の老人が亡くなったらしい。老人は大きなふぐりを下げていた。ちょうど1升徳利を下げた狸のように。