銀座スルガ台画廊の川越ゆりえ個展がおもしろかった


 銀座スルガ台画廊の川越ゆりえ個展がおもしろかったが、もう終わってしまった(3月31日まで)。川越ゆりえは1987年富山県生まれ、2011年に富山大学芸術文化学部を卒業し、現在同大学院芸術文化学研究科在学中。2011年のシェル美術賞に入選している。





 川越は大きな昆虫標本箱のような作品を作っている。しかし正確な昆虫の形を再現するのではなく、想像の昆虫を作っている。それは一見、江本創の作る架空の爬虫類や鳥に似ているが、江本がリアルな架空の動物の制作を目的としているのに対し、川越の昆虫は個々の虫そのものよりも、そのように作られた昆虫で大きな標本箱を表現することに主体が置かれている。
 これらの昆虫はみな紙粘土で作られているのでとても軽いとのことだった。これが大きな標本箱であることに意味があると思う。過剰な表現になっているからだ。もし小さな標本箱だったら、意味が変わってくるのではないか。ジョゼフ・コーネルなどのオブジェに近くなるかもしれない。
 会場には大きな箱に1点のみ大きな物体が収納されている作品や、油彩作品も並べられていた。これから作家はどちらへ進んでいくのだろう。今後も定期的に個展を開いてほしい。
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川越ゆりえ個展
3月26日(月)〜31日(土)
11:00〜19:00(最終日は17:30まで)
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銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2階
電話03-3572-2828/03-3574-8691