養清堂画廊の馬場知子展、カラリストが帰ってきた

 銀座5丁目の養清堂画廊で馬場知子展が始まった(3月24日まで)。馬場知子は私の最も好きな版画家の一人だ。馬場は1991年に女子美術大学絵画科版画専攻を卒業し、1992年に同大学研究生を修了している。そして翌1993年に銀座のギャラリー山口で初個展を開いている。その初個展を初日に見て、色彩の強さに感嘆した。






 馬場は版画家には珍しい天性のカラリストだ。今回の展示を見てドローイングなのかといぶかしんだが、やはり版画だった。色彩の鮮やかさがそう思わせるのだ。馬場によると和紙に刷っているが、その和紙も自分で漉いている。漉く際に和紙に顔料を掛けていて、いわば紙によるドローイングだという。その紙に銅版画で刷っている。紙を漉くところから作品作りが始まるので、エディションが少ない。3枚というのもあった。
 小品の横を見るように注意された。和紙が厚く層をなしている。そのような制作方法なので色彩が鮮やかに再現できるらしい。ここに掲載した写真は発色が正確ではない。実物は本当にみごとな色彩なのだ。しばらく色の使い方が控えめだったが、ここ数年また華やかになってきた。カラリストが帰ってきた。画廊に足を運んでぜひ馬場の華麗な色の世界を体験してほしい。
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馬場知子展
2012年3月12日(月)−3月24日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで、日曜・祝日 休廊)
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養清堂画廊
東京都中央区銀座5-5-15
電話03-3571-1312
http://www.yoseido.com