秋山画廊の小山穂太郎展

 東京千駄ヶ谷の秋山画廊で小山穂太郎展が開かれている(3月26日まで)。小山穂太郎は1955年東京生まれ、1982年に東京芸術大学美術学部油画専攻を卒業し、1987年同大学院博士後期課程を修了した。現在は東京芸術大学の教授となっている。

 今回の展示はガラスの破片というか塊が層になって床一面に敷き詰められている。何カ所かガラスが取り除かれ、鏡が置かれて光が当てられている。まるで地下から光が漏れているみたいだ。画廊の壁に貼られたテキストから、

そして、そこへとおとずれてくる、生まれたところにも近いだろう、ためしに老人とおなじ仕草をして声をふるわせておなじことばを発してみたら?・・・色褪せたコンクリートのはなつ夕刻のひかり? かげろう? しなやかなかげが跳びあがって、落ちる寸前にきえるだろう? みつめているあいだ、この部屋はせかいじゅうのどのへやともおなじだ、そうしてきづく、・・・ゆうれいは、・・・ ここにいる

 これは何だろう。廃墟だろうか。核戦争か何かで荒廃した未来世界かも知れない。時節柄東日本大震災のことも連想してしまう。漏れ出ている光は希望だろうか。しかしその光に照らし出されているのはプラスティックの破片なのだ。
 もう25年くらい前に見た秋山画廊での小山穂太郎展を思い出す。朝日新聞の展評に興味を持って見に行った展示は白黒の大きな写真に、たしか土が貼り付けてあった。それは今回の展示と似てはいないが、決して違和感のあるものではないだろう。小山の原風景として何か荒廃したものがあるのだろうか。
 小山穂太郎は私小説作家小山清の長男として生まれている。小山清太宰治に師事するが、脳血栓失語症になり10歳の穂太郎を残して亡くなっている。
 会場へは足を踏み入れてよいという。ガラスの塊を踏んで歩くとざらざら音がする。以前読んだSF小説が思い出された。何かとても厳しい世界を実感したのだった。
       ・
小山穂太郎展
2012年3月1日(木)−3月26日(月)
12:00−19:00(日曜・祭日休廊)
       ・
秋山画廊/AKIYAMA GALLERY
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-6
http://www.akiyama-g.com/
TEL/FAX03-3401-9505
       ・
東京メトロ副都心線 北参道駅(出口1・2)より徒歩5分
千駄ヶ谷3西交差点」で明治通りを渡り、そのまま直進(サブウェイ右手角)。GAギャラリーをすぎ突当り左に曲がり右手。
       ・
・JR山手線・中央線各駅・総武線 代々木駅西口より徒歩10分
都営大江戸線 代々木駅(A2出口)より徒歩10分
明治通りを原宿方面へ向かい「千駄ヶ谷3西交差点」(サブウェイ角)を右に入り、GAギャラリーをすぎ突当り左に曲がり右手。