ギャラリイKの東向展が興味深い


 京橋のギャラリイKで開かれている東向展「ニュークリアサティスファクション」が興味深い(3月3日まで)。東向(あずま こう)は1984年生まれ、2010年に多摩美術大学を卒業している。
 展示はインスタレーションで、ギャラリーに壁から壁にガーゼの包帯が何本も張り巡らされ、その向こうに大きなビニール袋が何個も置かれている。ビニール袋には細長いパイプが繋がっていて空気を送っている。これは医療行為または患者のイメージなのだろう。
 興味深かったのはビニール袋のあたりの空間だった。煙かドライアイスのガスのようにもやっている。作家に聞くと、そのようなものは何も使っていないという。照明の工夫と床に敷いた白い紙、そしてビニール袋の作る効果なのだそうだ。信じられなくて何度も透かして見てしまった。
 ガーゼの包帯が視線を横切っているのも効果があって、上への視線をさえぎり下方だけを見るよう強いている。その結果、広くはないはずの画廊の空間が大きく広がり、ずっと向こうまで続いているような錯覚にとらわれる。この仮想の空間を作ったことは東向の大きな手柄だと思う。ギャラリーへ出掛けて実際にこの空間を体験することをお勧めする。
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東向展「ニュークリアサティスファクション」
2012年2月27日(日)−3月3日(土)
11:30−19:00(最終日は17:00まで)
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4階
電話03-3563-4578
http://homepage3.nifty.com/galleryk/