中津川浩章展パート2「求心性」はきわめて優れた達成だ

 中津川浩章展「絵画は記憶に似ている」パート2「求心性」が先週のパート1に引き続きギャラリイKで開かれている。パート1も優れた展示だと思ったが、パート2を見たら多少オーバーな物言いになるが、パート1は前座と言いうるくらいの素晴らしい達成だった。
 メインの展示は「水平線の記憶」で、天地194cm、左右324cmという大作だ。中津川は静岡県浜松市出身とのことで、子どもの頃に浜名湖で遊んだらしい。この大作は浜名湖の記憶でもあり、大震災の東北の風景でもあるようだ。
 中津川の今回の達成は、造形的にも優れていることと、同時に強いメッセージを持っていることだ。メッセージとは言えプロパガンダでは全くない。「水平線の記憶」には多くの人たちが描かれている。彼らは腰まで水に漬かっている。遊んでいるようにも見え、作業をしているようにも見える。あるいは津波に襲われ水に漬かった地で後かたづけをしているのかもしれない。これは個人の記憶でもあり社会の記憶でもある、そのような多重性を描いている。
 中津川の今回の展示は、おそらく今年開かれる数々の個展のベスト10に入るのではないだろうか。

「水平線の記憶」、天地194cm、左右324cm

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中津川浩章展「絵画は記憶に似ている」が見逃せない(2012年2月2日)
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中津川浩章展「絵画は記憶に似ている」
パートII:2012年2月6日(月)−2月11日(土)
11:30−19:00(土曜日は17:00まで)
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ギャラリイK
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電話03-3563-4578
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