千駄ヶ谷の秋山画廊の遠藤利克展「空洞説―円環⇔壺」がすばらしい

 千駄ヶ谷の秋山画廊で遠藤利克展「空洞説―円環⇔壺」がすばらしい(2月11日まで)。作品は直径3.7メートル、高さ1.15メートルの木彫。重量は2トン車で2回運んだらしい。全体にドーナツ状をしていて、橅、胡桃、桜、他にタールが塗られている。


 画廊いっぱいに収まった図は見る者を圧倒する。直径3.7メートルというのは画廊の幅に合わせて作っている。その意味ではインスタレーションとも言える。とにかく、その存在感がすごいのだ。ちょっとだけキノコのかけらを食べて部屋いっぱいに大きくなったアリスを連想したが。
 毎日新聞1月17日夕刊の岸桂子の展評から、

 遠藤利克さん(50年生まれ)は、火や水などの根本要素にこだわり、スケール感のある彫刻を手がけてきた。造形の核は「円環」。作家にとって中心部の空洞は「垂直方向に力が発生し、新たな思考が生まれる磁場」で、「生と死」など、両義的な要素が接近する場としてイメージされてきた。
 今回は、画廊に設置できるぎりぎりの大きさ(直径3・7メートル)の新作を発表した。野焼きした木をタールで黒く着色したおなじみのスタイルだが、焼成を経ながら16の巨大な塊をドーナツ状に固定した高度な技に驚嘆を禁じ得ない。木肌の表情が自然の状態よりも饒舌(じょうぜつ)に表れ、目を見張る。空洞部が見えず威圧感のあった前作に比べると、荒々しさと優しさの双方を感じさせた。

 見る者を圧倒しながら、同時に美しい作品だ。もうそろそろ遠藤利克の回顧展が見たい。どこかの美術館が企画してくれないだろうか。
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遠藤利克展「空洞説―円環⇔壺」
2012年1月7日(土)〜2月11日(土・祝)
12:00〜19:00(日曜休廊・祭日開廊)
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秋山画廊/AKIYAMA GALLERY
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-6
TEL/FAX03-3401-9505
http://www.akiyama-g.com/index.html
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