アートギャラリー環の鏑木昌弥展


 東京神田のアートギャラリー環で鏑木昌弥展が開かれている(28日まで)。1階が「別働隊の日」、2階が新作ドローイング展となっている。
「別働隊の日」とは大西祥一が書いた短篇小説の標題で、それにかぶらぎまさや(鏑木昌弥)が挿絵を描いたものが1冊の本になって、アートギャラリー環から発行されている。1階はその原画展を行っている。小説は1970年頃の学生運動を書いている。別働隊とは本隊とは別に組織されたゲバルト(暴力)活動をする集団らしい。どこのセクトか分からないが、主人公は別働隊に入り、警察の機動隊に攻撃をしかけ、最後は逃げまどう。小説として出来の良いものだとは言いかねた。
 鏑木は小説のシーンを20数枚の鉛筆画に仕上げている。1938年生まれの鏑木は60年安保の世代だろうが、70年代の学生運動の風俗をよく捉えている。



 2階の新作ドローイングが良かった。和紙にガッシュで描かれている。ギャラリーが少々暗かったため写真がぶれていて鮮明さに欠けているが、実際の作品はこんなにぼやけてはいない。鏑木の絵画は優れた具象の良さを教えてくれる。絵画がメッセージを持って、しかもそれが作品の質を少しも貶めないことの証左がここに見られる。



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鏑木昌弥展/「別働隊の日」出版記念展
2012年1月9日(月)−1月28日(土)日曜休廊
11:00〜18:30(最終日は17:00まで)
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アートギャラリー環
東京都中央区日本橋室町4-3-7
電話03-3241-3920
http://www.art-kan.co.jp/