小山守の紹介する浅川マキの『CAT NAP』

 『レコード・コレクターズ』2011年8月号で小山守が「浅川マキ」と題して、再発売されたマキの紙ジャケットシリーズを紹介している。

 浅川マキというと、ファースト・アルバムに代表される70年代のフォーク〜ブルース的なイメージが強いかもしれないが、80年代には音楽性が飛躍的に広がり、アクの強いミュージシャンたちと次々に組んで斬新な傑作を連発し、彼女の全キャリアの中でも最も創造性が漲っていた充実の時期だった。

 80年の『ONE』、81年の『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いていたので、演奏者たちのOKをもらった』、82年の『マイ・マン』に続いて『CAT NAP』が発売される。

(上記の)これら3作でジャズの深い部分へとのめり込んでいったところで、浅川マキ最大の問題作といえる『CAT NAP』(82年)である。当時の日本で最もラジカルなミュージシャンの一人だった近藤等則がプロデュースと全曲の作曲を手がけ、8ビートのロックやレゲエ、アフロ、ニュー・ウェイヴなど、それまでのマキにはなかった先鋭的であり同時代的なサウンドをぶつけている。ヴォーカルはほとんどフリーになることがなく、珍しくきっちりメロディーに沿ってスクエアに歌っていたり、メロディー自体も彼女特有の湿り気が消えるなど、これまでのイメージが払拭されて、"新しい浅川マキ"を印象づける作品となった。このアルバムが成功だったか否かは未だに意見の分かれるところだが、強烈なインパクトがあったのは確かなことだし、(後略)

 浅川マキでは私はこの『CAT NAP』が一番好きなのだ。当時このアルバムはLPレコードで発売されたのだが、私はこれを買うことなく亀戸駅南にあった貸しレコード店で借りてカセットにコピーしたのだった。その後なぜあの時借りずに買わなかったのかと何度も後悔した。
 それが昨年紙ジャケットで再発売されてようやく手に入れることができた。このアルバムについては以前ブログに何度か書いたことがある。


浅川マキのCD「CAT NAP」がようやく発売された(2011年6月19日)
名盤「CAT NAP」のCD化を強く希望する(2009年10月25日)


CAT NAP(紙ジャケット仕様)

CAT NAP(紙ジャケット仕様)