ギャラリー現の佐々木博輝展「allelopathy III」に驚く

 東京銀座1丁目のギャラリー現で佐々木博輝展「allelopathy III」が開かれている(12月24日まで)。これには驚いた。佐々木は1972年福島県生まれ、1994年に東京芸術大学油絵学科を卒業し、1996年に同大学院を修了している。2008年と2009年にプレラギャラリーで、2010年に銀座の中和ギャラリーで個展をしている。
 今回は鹿の立体だ。4頭の鹿が下半身を共有してどちらへも動けないでいる。佐々木の出身地である福島が原発で身動きが取れなくなっていることのアナロジーらしい。驚いたのは鹿の表面にびっしりとコケが貼られていることだ。みごとなものだ。以前、表参道のPRADAビルの壁面にコケが貼られていることを紹介したが、あれは無残なものだった。だからこの鹿のみごとなコケには驚いたのだった。
 ギャラリーの片隅にはきのこ雲の形にこれもコケが貼られている。しかしそこには希望を表す木も育ち始めているのだ。
 百のバーチャルリアリティーより一度の実体験という諺を作った。ぜひ現物を見て驚いてほしい。個展は土曜日まで開かれているから。



表参道のPRADAビルのコケ(2010年10月10日)
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佐々木博輝展「allelopathy III」
2011年12月19日(月)〜24日(土)
11:30〜19:00(最終日17:30まで)
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ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
電話03-3561-6869
http://www.jpartmuseum.com/g_gen/