街路樹のイルミネーション



 クリスマス商戦の時期になり、各地の街路樹にイルミネーションが設置されている。永井荷風『日和下駄』(講談社文芸文庫)を読んでいたら、こんな文章が眼についた。

 当世人の趣味は大抵日比谷公園の老樹に電気燈を点じて綺麗綺麗と叫ぶ類のもので、清夜に月光を賞し、春風に梅花を愛するが如く、風土固有の自然美を敬愛する風雅の習慣今は全く地を払ってしまった。

 荷風がこれを書いたのは大正4年4月であった。日本人は95年も前からこんな愚かなことをしていたのか。

※青いのは新宿駅南口、赤いのは有楽町駅前