白銅てい画廊の高島進展が興味深い


 東京京橋の白銅てい画廊の高島進展が興味深い(12月3日まで)。(「白銅てい」の「てい」の漢字は、「革」偏に「是」と書く)。高島は1959年兵庫県生まれ、1982年に武蔵野美術大学建築学科を卒業したあと、1984年に武蔵野美術学園油絵科を卒業している。その後メキシコのアジェンデ美術学校に1年間留学した。



 高島はきわめてユニークな技法で作品を制作している。筆を使った作品と色鉛筆を使った作品、それに最近は銀筆を使った作品も作っている。
 筆の場合も色鉛筆でも3色を使用する。四角な画面の1隅から始めて線をまっすぐに引く。縁に沿って進み突き当たると曲がる。インクは途中で継ぎ足さないので色がだんだん薄くなる。色鉛筆では細く削っておいた芯がだんだん太くなるので色が濃くなっていく。2本目の線は最初の線の内側に引く。3色の選択はダイス(サイコロ)を振ってきめる。画面に色の縞=帯があるのはダイスの目の偏りだという。
 高島はこの技法をアメリカの現代音楽の作曲家スティーヴ・ライヒから発想したという。ライヒミニマル・ミュージックという単純なリズムが反復する曲を作曲した。単純な反復ではなく、微細な差異が展開していって独特の魅力的な曲を作り出している。
 また高島のダイスを振って色を決めるという方法もアメリカの作曲家ジョン・ケージの偶然性の音楽に依っているという。
 高島進のミニマル・アートは他に誰もやっていない独自なものだ。近いうちにアメリカでの個展も決まっているという。彼の地での評価を楽しみにしたい。
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高島進展
2011年11月15日(火)〜12月3日(土)
11:00−18:30(土曜日は17:00まで)
日祝休廊
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白銅てい画廊
東京都中央区京橋1-9-5 白銅ていビル1階
電話03-3567-0288
http://www.gaden.jp/hakudohtei.html
ブリジストン美術館の裏手の細い道路に面している。