佐野眞一「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」がおもしろい

 佐野眞一「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」(集英社文庫)がおもしろい。文庫本で上下2巻、合わせて1,000ページ近くある大著だ。主に裏社会、ヤクザや暴力団の歴史が語られる。沖縄では政治にも経済にも裏社会が深く絡んでいるのだ。ヤクザ同士の抗争が詳しく語られる。親分たちが何人も殺されて、組は離合集散する。それが最後にまとまるのは、本土から山口組が入ってくるのに対抗するためだ。
 もちろんアメリカ軍との関わりも書かれているし、軍事基地の地主の実態も明かされる。一番の地主には年間の土地代が20億円も支払われている。
 話題の尖閣諸島は埼玉県に住む個人の所有になっている。この尖閣諸島の地主にも20億円をもらっている地主にも佐野は会うことができなかった。しかし、それ以外の重要人物にはほとんどすべてインタビューしている。
「踊る沖縄、歌う沖縄」という章もあり、沖縄民謡から島唄安室奈美恵仲間由紀恵まで記されている。
 沖縄の歴史から経済、政治、ヤクザ、水商売、観光、基地問題、盛りだくさんだ。そのため1,000ページが少しも長く感じられない。これを読めば沖縄が本当に身近に感じられるようになる。ていうか、今まで沖縄の何を知っていたのだろう。

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫)

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫)

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下 (集英社文庫)

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下 (集英社文庫)