取引先の部長のペットの犬が死んだとき

 得意先の部長がペットの犬を可愛いがっていた。最初に部長に会ったころ、○○ちゃんが、○○ちゃんが、と何度も言うので、子供のことかと思ったらそれがペットの犬だった。帰宅しても玄関に迎えに来てくれるのは○○ちゃんだけだよ、奥さんや娘なんて出てこないんだ、なんて言っていた。
 その犬が死んだとき、部長の取引先の担当者たちから香典をもらったと話してくれた。あげた人たちに聞いたら皆1万円包んでいる。死んだ犬に1万円の香典、と思った。しかしそれは妥当なことだったらしい。
 付き合いに関する本を読んだとき、取引先の担当者が亡くなって奥さんが喪主のときと、担当者の奥さんが亡くなってご主人が喪主のときの香典の金額の考え方が書かれていた。
 意外にも奥さんが亡くなったときの方が香典の額は多いのが常識らしい。担当者が亡くなってしまえば、その奥さんとの付き合いはそれきりなのに対して、奥さんが亡くなってときに十分な義理を果たせば、それは仕事に反映してくるのだから。
 こう考えれば部長のペットの犬が死んだとき、1万円の香典を包むのは決して非常識なことなんかではなくて、十分に妥当な判断だと言えるとのこと。部長が心から悲しがっていたのは事実けれど。