朝日歌壇の入選作を読んで

 今朝の朝日歌壇(朝日新聞)の入選作を読んで思いだしたことがある。まず馬場あき子が選んだ松井恵(浜松市)の作品から。

浜岡の海に小ガメを放流す子らの未来はだれも知らない

 連想したのはコリン・ウィルソンアウトサイダー」に引用されていたロシアの象徴主義詩人アレクサンドル・ブロークの詩の一節。

ああ子どもたちよ、おまえたちが来たるべき暗い冷たい日々を知っていたなら

 次に永田和宏が選んだ星田美紀(和泉市)の作品。

全身を君で満たした器にしチャポチャポさせて会いに行く午後

 星田は気づいているだろうか、この過剰な官能性に。恋愛は美しいものだと思う。そのことに同意するなら同時に性愛も美しいということに同意しなければならない。