娘から、父さんコオロギ食べるよね、と言われた。違う、コオロギは食べない、食べるのはイナゴだ。イナゴは稲を食べていてきれいだが、コオロギは植物でも腐植を食べていて不潔な印象がある。だいたいイナゴは食用だがコオロギは虫に過ぎない。確かに娘はイナゴを佃煮でしか見たことがないから、イナゴが本当はきれいな黄緑色をしていることを知らない。佃煮にしてしまえば、どちらも暗褐色だ。
私がカミキリムシの幼虫はうまいと言ったら、後日知人があなたはカブトムシの幼虫を食べるのよねと言った。カミキリムシの幼虫は木の中に住んでいて木を食べている。カブトムシの幼虫は土の中に住んでいて、やはり腐植を食べているのだろうか。カブトムシの幼虫は汚い。
いや、食べ物(食性)のせいでイナゴやカミキリムシの幼虫が食用であるのではない。単にこれらは食用で、その他のものは虫なのだ。虫を食べる者はいない。そんなことは私が生まれた村の私の世代なら誰でも知っていることだ。