ポンパレの広告

 リクルートが運営する割引チケット共同購入サイトのポンパレの広告で、旅館内を浴衣で歩いているカップルの写真や、温泉に入っている女性の写真に、つぎのような台詞がかぶさっているバナー広告がある。

この旅館、高かったんでしょ?


実は半額以下だったなんて、言えない…

 なぜ言えないのか? 贈り物というのは、贈り物の中身と同等にその金額が大事なことだからだ。
 以前にも何度も書いたが、自分のために相手が出費をすることが歓待の基本だ。訪問したとき豪華な料理を用意してくれた。高価なプレゼントをしてくれた。いずれもツボは、客が良い物を得たことではなく、主人が出費をしたことだ。出費が大きければ大きいほど歓迎したことになる。
 北米インディアンが客を歓迎するとき自分の大切なものを破壊する。破壊する物の価値が大きいほど客は喜ぶ。自分のためにそこまで出費してくれたからだ。これをポトラッチという。
 プレゼントの本質は客の得たものではなく、主人の出費にあるのだから、ポンパレのように実は半額の出費だったというのは歓待されたことの評価が大きく下がるのだ。
 これが自分へのご褒美というやつだったら、安く入手できればただただ万歳だろう。