ギャラリーなつかで内平俊浩展が始まった


 銀座5丁目のギャラリーなつかで内平俊浩の木彫展が始まった(4月30日まで)。内平は1960年石川県生まれ、1982年に名古屋芸術大学美術学部彫刻科を卒業している。1987年から個展を始め、今回が20回目に当たる。


 内平は写真のように素朴な木彫作品を作ってきた。前回2008年の個展の折り、このブログで紹介したが、今回それを再録する。

 内平はいつも若い女性のほぼ等身大の木彫を作っている。粗い仕上げで、それに彩色をしている。彼女たちは時代の流行の服装をしている。内平はもう20年も個展を繰り返しているので、その作品はモードというか風俗の移り変わりを示している。女子高生がガングロで白い口紅を塗っていた頃はそのような彫刻を制作していたし、今回はメイドの作品もある。
 内平の作品は精密な仕上げを拒否したものだ。現代の円空仏といえば分かってもらえるかも知れない。媚びがない気持ちの良い作品だ。ギャラリーなつかの空間を知悉しているので、5体がきれいに収まっている。近代ヨーロッパの彫刻観を基準にした見方からは理解しにくいかもしれないが、もっと高い評価を得られて良い作家だと思う。
内平俊浩の木彫展がおもしろい(2008年10月23日)

 現代の円空仏と書いたが、遠くで円空仏と響きあっているとした方が近いかもしれない。近代ヨーロッパの彫刻概念からはみ出したところで制作を続けているのだ。
 今回はパンフレットを作っている。そこに掲載された内平のテキストから、

 1992年から始めたWOMAN20シリーズは足の先まで作らず、粗彫で、いろいろな木材をつかい100体つくるまではとこだわった。熱意とパワーだけの作品だが、今見てもその量には自分でも圧倒される。

 2000年以降のWOMAN21シリーズは、足の先まで彫ることによって、全体の動き、雰囲気が明確になってきた。今後とも現代の女性達を通じて、その時代の世相をおもしろく刻んでいきたい。

 内平は故郷の石川県鳳珠郡能登町に内平美術館を作っているという。一度その壮観な木彫群を見てみたい。
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内平俊浩展
2011年4月18日(月)〜4月30日(土)
24日(日)と29日(金)は休廊
11:30〜18:30(最終日は〜17:30)
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ギャラリーなつか
東京都中央区銀座5-8-17 GINZAPLAZA58 8階
電話03-3571-0130
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/