いしいひさいち「死斗!! SF巨編 地底人 対 最底人」



なんだ これはーっ!
新兵器の未確認匍状前進物体ですが。
こんなもんが戦力になるかっ!
キモチ悪いだけやないかっ!

と、まあ、このように地底人たちが、相も変わらず
地上の地表人(我々のことである)侵略の計画に憂身を
やつしていたそのころ……

その地底人の足元のその下の
さらに地底の奥深く、
はるかはるか地底の最深部の漆黒のその中に

この地底人民共和国の侵略をたくらむ
世にも不気味な侵略者の一団があったのである。
そおっ! あのっ!

最底人である!

お おまー

あっあ、あほやろー

わ、わーは、

あ あっ
あほっちゃうどー

 いしいひさいちの「地底人」(双葉社)は1987年の発行だ。もう24年前になる。これらの表現は現在だったら出版社が自己規制して発行されないだろう。井上ひさしの45年前の傑作人形劇「ひょっこりひょうたん島」も差別語の問題でいくつかの巻がNHKによるカラー版での再制作から外されたのだった。そういえば筒井康隆も度を超した差別語狩りを批判して断筆したことがあったのを思い出す。