ギャラリイKの中野友美子展「carpet and tatami-beri」の不思議な展示

 東京京橋のギャラリイKの中野友美子展で不思議なインスタレーションが展示されている(3月5日まで)。

 床に黒い帯状の長方形が置かれている。作家に材質を問うと、畳縁(たたみべり)に何かを塗って底に鉛の板を貼り付けているという。結界みたいだと言うとそうだと言う。ファイルに入っている過去の展示の写真を見せてもらったが、床に帯状のものを置いたり、小石みたいなもので平面を区切ったりしている。線を引いて空間を区切る試みをしているかのようだ。
 ギャラリーの床に置かれたこの黒い帯でも外と内が画然と分けられる。帯の中へ入ってもいいかとの問いに、作家はいいですよと言って飛び込んだが、私には何か躊躇するものがあって入るのがためらわれた。やはりある種の結界を存在させているのだ。線でありながらその上に見えない壁が存在するような気がする。それは不思議な体験だった。
 ただの線に見えるものが結界を生じるのは、作家の意志によるものか、体験から刷り込まれた私自身によるのか、あるいはユングの言う集合的無意識だろうか。
 中野はこの後どのように展開させるのだろう。次回、次々回の個展が楽しみだ。
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中野友美子展「carpet and tatami-beri」
2011年2月28日(月)〜3月5日(土)
11:00〜19:00(最終日 17:00まで)
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4階
電話03-3563-4578
http://homepage3.nifty.com/galleryk