老人の孤独死が話題になっているが、朝日新聞でも12月26日から「孤族の国」として特集が始まった。
首都圏の大規模団地で11月上旬。死後3カ月以上経った男性(79)の遺体が見つかった。遺族に依頼された遺品整理会社「あんしんネット」の作業に同行した。
部屋に一歩入ると、防臭マスクを通してすら強烈な異臭が鼻を突く。昭和40年代の団地に典型的な2DKの間取り。ちゃぶ台には、食べかけのご飯やみそ汁がそのまま残っていた。
居間として使われていた南側の部屋が最後の場所だった。食事をしている途中に倒れ、そのまま亡くなっていた。床に広がるおがくずのような茶色い粉は、皮膚や体液が乾いて固まったものらしい。カレンダーには7月10日まで斜線が引かれていた。
私も一時期公共住宅の管理の仕事を手伝っていたことがある。やはり老人の孤独死は時たまあった。普通は遺族が部屋を片付けてきれいにするのだが、家族がいなくて甥や姪などが片付けた場合、金目のもののみ回収して残った遺品の処分を依頼されることがある。それは産業廃棄物の業者に外注するのだが、その前に一応ざっと検査する。やはり食事中のおかずやご飯がテーブルに載っている。冷蔵庫の中は決して開けないようにする。もう電気が止められているので、中の食品は腐っていて腐臭がすごいのだ。衣類や家具、古い電気製品や記念品らしい置物のようなものは全部ゴミになる。
亡くなって3カ月で遺体の皮膚や体液が粉になっていたというこの記事には驚いたが、遺体が腐乱し畳はおろかその下の床板まで変色して、床板を取替えなければならなかったこともあったという。
病院で亡くなる方が良いようにも思うが、延命措置をされて生かされ続けるのはお断りしたい。そのようなことはしないでくれと娘には伝えてあるのだが。