INAXギャラリーの下平千夏展「IMPLOSION POINT」の不思議な空間



 京橋のINAXギャラリー2で下平千夏展が開かれている(12月25日まで)。
 下平は1983年長野県生まれ、2歳のときから5年間シンガポールで暮らしている。2007年武蔵野美術大学建築学科を卒業したあと、東京芸術大学大学院へ入学し美術研究科先端芸術表現専攻を今年終了している。
 INAXギャラリーの広いスペースいっぱいに糸が張られている。糸と見えたのは実は輪ゴムだった。輪ゴムを繋いで長いひも状にし。それを張り巡らしている。そのひもの数およそ830本もある。膨大な量の輪ゴムだろうし、ものすごい張力だろう。
 今回の個展のテキストより、

自分が表現していることって何だろうと悩んでいた時に出会った、デュシャンのアンフラマンスという言葉があります。これは造語で、極薄などと訳されますが、東野芳明さんがある本で、その意味について建築に例えて、「柱というのは横に長く伸ばしていったらいつか壁になる、逆に壁がどんどん狭くなっていったらいつか柱になる、そこの境目は一体どこにあるのか」、そういう曖昧な存在現象をアンフラマンスというんじゃないかと。これは私の考えていることを説明してくれていると感じました。

 張り巡らされた輪ゴムは奥の方で収斂して太い綱になっている。逆に言えば綱がほどけて大きな空間を作っている。
 会期はまだ4日残っている。ぜひこの不思議な空間を体験してほしい。


下平千夏展「IMPLOSION POINT」
2010年12月4日(土)〜12月25日(土)
10:00〜18:00(日曜祝日休廊)


INAXギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
電話03-5250-6530
http://www.inax.co.jp/culture/