銀座4丁目の永井画廊で堀越千秋展が開かれている(12月17日まで)。個展のタイトルが「ANA機内誌『翼の王国』表紙原画展」だ。表紙原画展なので小品だが堀越のダイナミックな作風はよく現れている。堀越は美術界の名文家3人の1人でもある。その3人とは野見山暁治、池田満寿夫、堀越千秋である。なぜこの3人が名文家になったかについては以前書いたことがある。
・名文家になる方法(2009年5月23日)
今回の個展の案内の葉書にも堀越の短いエッセイが載っている。「地球代表」と題されている。
タコの親分みたいな火星人がやって来て、地球代表を選ぶとしたら何を選ぶだろう? 先方はタコだから、必ずしも人間を選ぶとは限らない。
数だけならイワシやプランクトンのほうが多い。大きくて偉そうなものなら、ゾウはいかが? 第一悠々としている。しわくちゃでいかにも哲学的な風貌である。鼻が長くて、居ながらにして何でも取れるからチョコマカ動かなくてもよい。ちょっと歩くだけでもうもうと砂ぼこりが立ち、地響きがして立派な上に、菜食の平和主義者である。
人間なんて、パタパタせわしげで、ピチャクチャうるさくさえずるし、食べられもしない物を奪い合って貯えたりして優雅でない。歩くのに二本脚しか使わず、八本脚や四本脚に比べたらよちよち歩きで、裸のペンギンにしか見えず、到底代表にはなれまい。
もっとも、大きさからいえば鯨の勝ちだが、タコから見たら海の中では怖いだろうから、代表には選ばれぬに違いない。
堀越千秋は1948年東京生まれ、東京芸大油画科を卒業している。1976年からスペインへ渡り、現在もスペインで暮らしている。
個展の会場風景を紹介する。永井画廊はビルの1階、3階、4階、5階が展示室になっている。
オーナーの永井龍之介さんは「なんでも鑑定団」の美術の鑑定士としても有名な人だ。そして画廊のオーナーとしては珍しく穏やかな紳士だ。
堀越千秋 ANA「翼の王国」表紙原画展
2010年12月1日(水)〜17日(金)
11:30〜19:00(日曜休み)
永井画廊
東京都中央区銀座4-10-6
電話03-3547-9930
http://www.nagai-garou.com

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