8th Art Program Ome 2010「循環の体」の作間敏宏作品

 毎年青梅市市内各所で開かれるArt Program Ome 2010「循環の体」が今年も始まっている。(11月28日まで、青梅市立美術館のみ12月5日まで)。
 この企画は16人の美術家に加え、多摩美術大学明星大学東京造形大学、武蔵野美術大学の学生たち50人ほどが、青梅市立美術館、青梅織物工業協同組合施設、青梅総合高校講堂、吉川英治記念館、市内各所の路地や庭、神社や寺の境内、公会堂などに作品を設置しているもの。何カ所かにあるインフォメーションで地図を入手し、作品を探し歩きながら鑑賞するというなかなか楽しい企画だ。
 私はJR東青梅駅で下車し、駅前の東青梅センタービルのインフォメーションで地図を入手し、そこから青梅総合高校、織物工業協同組合に立ち寄り、市内のあちこちにクイズのように設置されている作品を見て歩き、青梅市立美術館まで行った。美術館の展示を見た後、青梅街道を少し下って多摩川にかかる鮎見橋まで行き、橋から晩秋の多摩川を眺めた。
 そこから青梅駅まで戻り、また地図を見て作品を探しながら東青梅駅まで戻った。とても全部は見切れなかったが、それでも吉川英治記念館の戸谷成雄を除く15人の美術家の作品と30人の学生の作品を見た。歩いた距離を測ったら直線でほぼ4kmあった。
 さて、これらのうち、取り敢えず青梅織物工業協同組合施設のSAKURA FACTORYに展示されていた作間敏宏の作品「接着/交換」について紹介したい(他の作品については後日)。
 SAKURA FACTORYは古ぼけた平屋の建物で、以前は織物工場だったようなたたずまいだ。建物の中は白井忠俊の大きな円筒形の平面作品が展示されている。しかしそれほどは明るくない。探したけれど作間の作品が見当たらない。そのうちに建物の中に区切られた部屋があり、そこのガラス窓にちらちら光るものがあるのに気がついた。

 すすけたガラス窓に暗い光で照らされた人影が映っている。人影は遠くから近づいてきては消えていく。おぼろな形だけれど、大人とか子供とか男か女かは分かるようだ。その映像が繰り返されている。これは今年1月に銀座のギャラリー巷房で発表した映像作品と同じコンセプトの作品だ。巷房では地下のスペースを使ってスクリーンに投影していたけれど、古ぼけた工場のすすけた窓ガラスに投影された今回の展示の方が、作品の意図には合っていると思う。



 作品そのものについての感想は1月の展示のものと変わらない。


銀座の奥野ビルにあるギャラリー巷房での作間敏宏展「接着/交換」(2010年1月8日)


8th Art Program Ome 2010「循環の体(たい)」
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2010年10月16日ー12月5日
青梅市立美術館
 9:00ー17:00(月曜日休館、入場料200円)
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2010年10月30日ー11月28日
・青梅織物工業協同組合施設
 10:00ー17:00(月曜日休み、入場料200円)
・都立青梅総合高等学校講堂
 10:00ー17:00、月曜日休み、入場無料)
吉川英治記念館
 10:00ー16:30(月曜日休館、入場料500円)