「水墨画と語らう」は良かった

 何かの本で水墨画については、矢代幸雄水墨画」(岩波新書)がいいと書かれていた。たしかに良い本だったが、古いのと図版が小さくて鮮明でなかったので改めて水墨画の画集を探した。
 新潮社の「美術館へ行こう」というシリーズの「水墨画と語らう」が初心者にはとても良かった。著者は東京国立文化財研究所に勤めている島尾新、1953年生まれで室町時代水墨画が専門とのこと。
 具体的な作品を紹介して、それに即して滲みとか線、筆の使い方、技法、題材、等々が語られる。同時にそれぞれの画家の特徴も解説される。見事なものだ。
 何と雪舟について、「あまりに有名なので誤解されがちなのだが、技術的には上手な絵描きではない」なんてさりげなく書かれている。
 手許に置いて何度も見たい本だ。

水墨画と語らう (美術館へ行こう)

水墨画と語らう (美術館へ行こう)

水墨画 (岩波新書 青版)

水墨画 (岩波新書 青版)