山口晃「すヾしろ日記」の隅をつついた

 山口晃東京大学出版会のPR誌「UP」に2005年4月号から「すヾしろ日記」というマンガを連載している。A5判の小さな雑誌に毎月1ページ28コマを描いている。画家の日常を虚実取り混ぜて描いているらしい。主な登場人物は画家とその奥さんだ。連載は今も続いているが、初回から2009年5月号までの50回分を、昨年7月に本にまとめて羽鳥書店から出版した。私は長年この雑誌を購読しているので、このマンガも最初から読んできた。今でも雑誌が届くと最初に開いて読んでいる。
 さて、2007年7月号に、子供のころから図鑑が好きだったという話が掲載された。


       
男の子は図鑑好き/今日はどれにしょ/子供の頃の楽しみだったな……
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昆虫図鑑、魚類ずかん、恐竜、人体、動物、鳥類……。どれも面白い。/魚類図鑑だと深海魚のコーナー
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「ホーライエンヤ」という魚がうかぶが、此れは多分間違っている。ビジュアルの記憶はこれ/これも多分間違い。
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自信があるのは例へば昆虫の「アカバアリガタハネカクシ」や「オオスカシバ」など
       

 残念ながらこれが間違っていた。ミヅマアートギャラリーの担当のOさんを通じて間違いを指摘した。その結果、単行本にまとめられたとき、

と、訂正が書き込まれた。これも少々違っていた。私はこの当時「殺虫剤の会社の方」ではなくて、殺虫剤の会社をクライアントとする広告代理店に勤めていたのだ。
 さて、山口晃「すヾしろ日記」(羽鳥書店)はとぼけていて面白い。彼のとぼけぶりは天然のものではないか。作品の傾向と何ら齟齬がない。
 そういえば1998年、まだ表参道にあったミヅマアートギャラリーでの初個展のとき、ちらしにサインをお願いしたら花押を描いてくれたのだった。


すゞしろ日記

すゞしろ日記