コバヤシ画廊の山本聖子展が良い

「新世代への視点2010」でコバヤシ画廊は山本聖子を選んだ。山本聖子は1981年京都府生まれ、大阪芸術大学芸術学部立体造形ゼミを卒業したあと2006年に京都造形芸術大学大学院を修了している。昨年、東京では初めての個展を同じコバヤシ画廊で開いた。テーマは今回と同じだが、ずっと洗練され優れた作品になっている。




 山本聖子の作品は不動産のちらし広告などの部屋の間取り図からなっている。その間取り図を切り抜きパウチし、もう一度切り抜いてそれを接着して大きな作品に仕立てている。画廊の壁から20cmほど離して、画廊を取り巻いているのがその作品だ。間取り図は数千点に及ぶ。その作業は想像を絶するほどのものらしい。画廊の壁面が20mほどあり、それをびっしりと小さな小さな間取り図が囲んでいる。それは美術としての造形であり、同時に日本という小さな国に密集して建てられたマンションや一戸建ての社会学的・哲学的具現化でもあるのだろう。
 なぜか9年前にこの画廊で開かれた川村直子展のインスタレーションを思い出した。少しオーバーな言い方だが、両者に無限を連想したせいかもしれない。


山本聖子
2010年7月26日(月)〜8月7日(土)、日曜休廊
11:30〜19:00(最終日〜17:00)


コバヤシ画廊
〒104-0061東京都中央区銀座3-8-12ヤマトビルB1F
TEL 03-3561-0515 FAX 03-3561-7859
http://www.gallerykobayashi.jp/