日本人の特異な食生活

 辻井喬上野千鶴子「ポスト消費社会のゆくえ」(文春新書)に日本人の特異な食生活が紹介されていて面白かった。

辻井  日本のスーパーの食品売場では、生鮮食品が半分を占めていて、驚くほど高額です。これはアメリカの小売業者もヨーロッパの小売業者も理解できないことなんですね。それでも日本の消費者はわざわざ高い生鮮食品を好む。私はこれを、昔はシアーズ・ローバックに、それからいまのウォルマートに何度も言いましたが、なかなか理解してもらえない。
上野  ああ、なるほど。
辻井  日本の食生活における生鮮食品の比率は、アメリカ人でもヨーロッパ人でも理解できないんです。そのうえ生物(なまもの)ですから、主婦が調理、加工しなきゃならない。彼らは「そんな手間がかかる高いものを、どうして日本の消費者は食べるんだ」と聞く。「どうしてったって、日本はそういう食生活なんだよ」と言っても、「それは合理的でない」と主張する。

 こういうことは日常生活からは見えてこない。ほかにも、この本は面白いエピソードが満載だった。

ポスト消費社会のゆくえ (文春新書)

ポスト消費社会のゆくえ (文春新書)