吉田秀和が「之を楽しむ者に如かず」(新潮社)で片山杜秀をほめている。その「音楽は、自由な野の鳥」から、
この間、私の記憶では、たしかプレトニョフだったかと思う−−そうではなくて、ほかの音楽家だったにしても、どうでもいいことなのだが−−が、東京のどこかのオーケストラを指揮してベートーヴェンの《第九交響曲》をやった。その演奏会の批評が『朝日新聞』にのっていた。たしか片山杜秀さんの書いたものだったと思う。どんな演奏だったか、読み手によく伝わってくる、はっきりした、読んでいて気持ちの良い−−つまり、「なるほど」と思える記事だった。ついでに書いておけば、片山さんのはこれに限らず、いつだってそうで、しかも観点が狭くないので、私はほとんどいつも感心して読んでいる。
吉田秀和にこんなにほめられた片山杜秀は、しかし本業は近代政治思想史であって、音楽評論は余技なのだ。何と!
片山杜秀「近代日本の右翼思想」(講談社選書メチエ)は優れた右翼論だった。
・片山杜秀「音盤考現学」は面白い(2009年4月12日)
・片山杜秀の推薦する「宮本武蔵」(2009年3月18日)
・片山杜秀「近代日本の右翼思想」(2008年4月24日)
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