アメリカの影

 アメリカでトヨタ車のリコールが問題になっている。マットによるアクセルペダルが戻らない問題、プリウスのブレーキが効かないとされる問題。それに対して微かにアメリカの陰謀だという噂も聞こえてくる。普天間基地の問題で日本政府がアメリカの要望を無視するので揺さぶりをかけているというものだ。まさかとは思うのだが、少し気になることもあったのだ。
 孫崎享「日米同盟の正体」(講談社現代新書)より。孫崎は昨年3月まで防衛大学の教授だった人。

 シャラーは前掲「日米関係とは何だったのか」で、「アメリカの外交官たちは……1954年の吉田の首相退任に一役買っていたのだが、それは吉田が日本の急速な再軍備に反対したからであった」と記述した。

 吉田茂の首相退任がアメリカの意向だったという。また、小池百合子議員が『正論』2002年7月号に「細川首相退陣の引き金は『北朝鮮有事』だった」という論評を書き、それを2009年2月時点での同議員のインターネット・サイトに掲げていると紹介している。

 それによると、1994年2月に訪米中の細川総理が米国側から武村正義官房長官を外すよう求められ、細川総理は、結局、この指示を実行したという。官房長官と言えば、政府の中心中の中枢である。米国と距離を保っていると見られた細川総理ですら、米国の意向に従って武村官房長官を切った。これを契機に細川政権は瓦解していく。

 官房長官の首すら意のままにできるのだという。トヨタを締め付けるのなんてお手のものだということだろうか?


 孫崎享「日米同盟の正体」について書いた以前のエントリー
吉田茂について知りたくて(2009年9月2日)
「日米同盟の正体」から教えられたこと(2009年6月11日)

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)