美術展の審査員の特徴

 明大前にあるキッド・アイラック・ホールで世田谷美術館長の酒井忠康さんと無言館ならびに信濃デッサン館の館長窪島誠一郎さんの対談を聞いた。二人は同い年の67歳だという。なかなか面白い話だった。次は酒井さんの話で、美術賞の審査員としての癖のある画家たちのエピソード。

リー・ウーファン:自分と似た作品はすべて落とす。
横尾忠則:団体展に入賞する作品はすべて落とす。
堀内正和:シュールな絵はすべて合格させる。理由は、自分には描けないから。
前田常作曼陀羅図に似ていると、すべて合格させる。
野見山暁治:マチエールにこだわり、いちいち触るので、審査に時間がかかる。

 酒井さんの話では、酒井忠康「早世の天才画家」(中公新書)は本屋の政策でこの題名だが、ここに取り上げた12人の日本近代洋画家で本当の天才は村山槐多だけだそうだ。