麻生三郎の描く松本俊介像?

 銀座7丁目に小林画廊がある。一流の画家ばかりを扱っている高級画廊だ。ここの奥のスペースは普段は麻生三郎の常設になっている。そこに人物像が展示されている。下記の作品だ。

 画廊の方が、これは麻生三郎が描いた松本俊介ではないかと言われる。たしかに顔が松本俊介の自画像に酷似している。麻生は松本と親交があった。十分な可能性があるだろう。
 以前、針生一郎さんから伺ったエピソードがある。戦後針生さんが松本俊介や麻生三郎のことを雑誌に書いていたが、岡本太郎が何であんなやつらばかりを取り上げるのだと言った。針生さんによれば、岡本太郎の本音は彼らではなく自分のことを取り上げろというのだった。でも、僕は戦後の画家では、松本俊介、麻生三郎、香月泰男が最も優れていると思ったから彼らのことを繰り返し書いたのだ。
 私も松本、麻生は本当に優れた画家だと思う。しかし現在、松本はともかく麻生三郎の評価がその実力に見合っていないと思われる。もっと評価されてしかるべき画家だ。小林画廊に麻生三郎の常設の部屋があることはすばらしいことだと思う。
 参考までに松本俊介の自画像を下に示す。

小林画廊
東京都中央区銀座7-5-2
電話03-3574-1898
10:00〜18:00(日祝休み)
http://www.kobayashi-g.co.jp/