図書館の近くに小さな植物園がある。御衣黄など数種類の桜やこぢんまりした野草園、太い幹のクズやムベ、バラなど、植物の種類は雑多だけれど毎週通っているが飽きないほどだ。植物園の片隅に1メートルに満たない石が据えられている。立てられているというべきか。石の上に草が生えている。
石の頭が平らになっていて、何年間かの間に砂埃が溜まり、おそらく最初に苔が生えて砂埃が湿気を持ち、そこへ草の種が飛んできて芽を出しこのような雑草の小さな群落を作ったのだろう。
シダ、スミレ、タチイヌノフグリが生えているが、ネジバナも花を咲かせている。ネジバナは多年草で塊茎があるのだ。このわずか1センチに満たない土の層の中にネジバナの塊茎が埋まっていて、スミレやシダの根が複雑に絡まり合っているのだろう。
自然が作ったみごとな石附盆栽だと思ったが、なに盆栽こそが自然を模倣しているのだった。
この写真は2か月前、4月中旬のもの。