上品な作家玄侑宗久とその友人伊藤彰規

 玄侑宗久には会ったことがない。芥川賞を受賞した「中陰の花」(文春文庫)を読んだことがあるだけだ。一読後なんという上品な人かと思った。私とは品の格が全く違う。比べる相手が違うのはよく分かっているが。
 玄侑宗久には会ったことがないが、彼の高校時代からの親友だという伊藤彰規さんには何度も会った。伊藤さんは抽象画家で銀座でしばしば個展をしている。この伊藤さんが上品なのだ。親友は似ているから玄侑宗久が上品なのは間違いがない。
 伊藤彰規の作品を見ようと思えば、玄侑宗久「中陰の花」の文春文庫のカバーを見ればいい。内容に見合った美術作品だ。ちなみに伊藤さんはこの文庫本の装幀のためにこの作品を作ったという。単行本の装幀の時は間に合わなかったので他の画家の作品を使った。伊藤さんは出来合いの絵を流用するなどということができない人なのだ。

中陰の花 (文春文庫)

中陰の花 (文春文庫)