とっさに考えたのは誰か?

 娘が新聞を読みながら「このハイ白色は〜」と言ったので、それは「カイ白色と読むんだ、ほら石灰のカイだろ」と教えた。「灰白色」のことだった。
 カイ白色と読むんだと言ったとき、とっさに「石灰のカイ」という言葉が出て来た。頭脳の中の回路はどんな風に結ばれているのだろう。とっさに石灰のカイと考えたのは誰なんだろう。
 パスタ屋さんのショーウインドウに飾られている皿に盛られたパスタから数本のパスタが伸びてその先にパスタが絡められたフォークが浮いている。不意に浮かんだ「石灰のカイ」という考えが、浮き出たフォークに引き上げられたパスタを思わせたのだった。