椋鳩十の生家跡を見た

 弟に誘われて母方の祖父母の墓参に行った。祖母が亡くなって以来だからもう25年ぶりになる。墓参の後、墓から50メートルほどの所にある児童文学者椋鳩十の生家跡を見に行った。椋鳩十はわが長野県喬木村出身なのだ。椋は母の生家近くに住んでいて、母が子供の頃髪を肩まで垂らした彦穂さ(椋の本名が久保田彦穂だった)を見たという。
 椋の生家跡は山付きの50坪足らずの小さな畑だった。木の立て札が立っていて、井戸と石垣が残っていると書かれている。

 その生家跡の近くに墓所があり、墓所に椋の銅像があった。銅像はなかなかいい出来だと思う。彫刻家は中村晋也。中村は鹿児島に大久保利通像を造っている。椋も長く鹿児島県立図書館館長を務めており、中村とはおそらく鹿児島つながりなのだろう。最近中村晋也美術館ができたという。


 椋の銅像の向こうに郷土の山、風越山が見える。椋は青年時に母親を亡くし、継母との折り合いが悪かったとかで鹿児島に行ってしまった。だが椋の心に風越山の記憶が消えたことはなかっただろう。