ギャラリーなつかの上野慶一展

 銀座5丁目のギャラリーなつかで上野慶一展が開かれている(31日まで)。上野慶一は1956年東京生まれの52歳。もう40回くらい個展を行ってきたという。私は10年ほど前からときどき見てきたが、カットアウトシリーズやルヴハイシリーズが印象に残っている。カットアウトというのは、大原美術館に収蔵されているポロックの作品名で、ドロッピングしたキャンバスの中央を人型に切り抜いている。その人型を核として作品を作ってきたのがカットアウトシリーズだった。ルヴハイも何かロシアの聖杯の形を核にした作品だった。そして今回新しい展開があった。
 菱形の中に眼が描かれている。顔なのだ。小さくカットアウトの形が描かれている作品もある。菱形の顔?の部分には細かな筆触を残している。バックの色面は平坦に塗られている。とても興味深い作品だと思った。
 現代美術は長い間抽象表現主義が席巻した後、新しい展開を探っていた。コンセプチュアル・アート、もの派、ニュー・ペインティング、ネオポップ、最近のキモい具象等々。そのような流れのなかで、中津川浩章や母袋俊也など、具象ではないが具体的なイメージを伴った絵画があらわれてきた。上野もその延長上にあるのではないか。新しい展開と言った所以である。
 上野慶一展を体験して、新しい何かが生まれているのか否か、判断してほしい。




 下は小さくカットアウトの形が描かれた作品

上野慶一展-VANITAS-@ギャラリーなつか
1月9日〜31日(日曜祝日休み)、11:30ー18:30(最終日5:00まで)
東京都中央区銀座5-8-17 GINZAPLAZA58・8階
電話03-3571-0130
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/

 参考までにポロックのカットアウト