山本弘の作品解説(15)「三叉路」


 山本弘、「三叉路」、F30号(91cm×72.7cm)
 三叉路、T字路の構図は山本が何度か採用している。1977年4月、飯田市中央公民館の個展で発表された。同じような構図で「雪の三叉路」や「どっちに行こうかな」がある。
 三叉路の真ん中に猫がいて、正面を見ている。ありふれた光景だが、山本にとってそれが面白かったのだろう。濃く太く強い道が画面を分割している。その中央にアクセントとして白い猫がいる。道の両側は畑だろう。作物が植えられていないので冬かもしれない。それとも氷が張った田圃だろうか。道を縁取り、また道の凹凸を示しているような青がきれいだ。猫は右側に黒い影を引いている。暖かい日が差しているようだ。
(個人蔵)